Q:保険は効きますか?自費ですか?

2014年4月から腹腔鏡下スリーブ状胃切除術が保険適応で治療可能となっております。2018年4月からはさらに保険点数が実情に適した設定に近づいており環境は改善しました。当院では腹腔鏡下スリーブ状胃切除術を保険診療で治療できる施設基準を取得していますので問題ありません。保険が適応となるのは半年以上の内科治療が無効、BMI35以上で糖尿病、高血圧症、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群などを合併する場合、またはBMI32.5-34でHbA1c8.4以上の2型糖尿病を有すると規定されており、美容等が目的の場合は適応となりません。また、個室料金等の一部は自己負担が発生します。詳細については直接お問い合わせお願いします。なお、スリーブ状胃切除術以外の手術(スリーブバイパス、胃バイパスなど)は自費診療です。

 

Q:実際の自己負担額はいくらくらいですか
保険診療で腹腔鏡下スリーブ状胃切除術を行った場合、2週間の入院、手術、麻酔、運動療法、などを全て込みで、高額療養制度を適応した場合、当院で治療を受けた患者さんでは最終的な自己負担額は下図で示しますように約4万円から約18万円までの幅がありました。これは収入に応じて変化してきます。最も頻度が高かったのは9万円、次に6万円弱でした。あくまでもこれは入院のみにかかるコストで、術前の検査などの外来診療では別枠です。(入院に比べるとコストはかなり低くなります)

 

Q: すぐに手術受けたいのですが

病的肥満症は手術だけで治療が成功するものではありません。手術は確かに高度肥満症治療の外科治療の重要なステップですが治療プログラムの一部でしかありません。安全に麻酔や手術ができる状況なのか、手術がベストの選択肢なのか、どのようなリスクがあるのかなどを十分検討した後、手術が行われます。通常、初診から手術まで最短6ヶ月とされていますが、既にかかりつけ医で長期にわたり治療を継続している場合はその限りではありません。

 

Q: いつ・どこに受診すればいいのですか

もしかかりつけ医がいる場合は担当医に相談して紹介状(診療情報提供書)を作成してもらって大浜第一病院外科を受診されてください。もし、直接来院する場合は病院へ電話し予約をとることをお勧めします。通常の外来診療枠は予約で殆ど埋まっていますので予約無しで来院された場合診察できない場合がございます。

  

Q: どれくらい体重が減るのですか?リバウンドはしませんか?

腹腔鏡下スリーブ状胃切除術や腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術は国内外のデータや私たちのデータから初診時の体重のおよそ30%を1年で落とす効果があります。平均ですから個人によってかなり開きがあります。私たちの施設でのデータでは1年で最大122kg減、最小22kgの減でした。もとの体重にもよりますが、150kgの患者さんは平均50kg、120kgの患者さんは平均40kg減るのが一般的です。減量は術後1年半まで続きますが、その後は少しづつリバウンドしてきます。ただ、手術以外のダイエットに比べるとリバウンドはかなり緩やかです。術後1年半以降のリバウンドを防ぐためにも術後の通院は必須です。リバウンドしない生活リズムの再構築、食生活のパターンに変えていくことやリバウンドしにくい体作りを術後1年半の間に行うことが長期の成功につながります。リバウンドだけでなく長期の栄養障害などのモニターも必要ですので術後5年までの通院が必要で約束できない場合は基本的に手術ができないルールとしています。

 

Q: 糖尿病が治ると聞いたのですが本当でしょうか

糖尿病と診断されて経口薬やインスリン注射をしていても肥満減量手術後に術後早期に血糖値は正常化しそれらの薬が不要になることはよくあります。医学的には糖尿病が治る、ということはこれまでないとされてきたので、肥満減量手術後に血糖、その他の血液検査のデータが正常になり、内服薬やインスリンが不要になることは多いですが、この状態を医学的には『治癒』とは呼ばず「寛解」状態を維持していると表現します。一般的に、高度肥満を伴う糖尿病は術後に85%以上の確率で投薬等の治療が不要になります。ただ、全ての患者さんに著効するわけではありません。概して言えば、①肥満度が高いほど(BMI35以上)、②若いほど(40歳未満)、③糖尿病が発症してから期間が短いほど(5年以内)、④インスリン分泌能が維持されているほど手術の効果が高くなります。近年、世界中の研究者の尽力でどのような患者さんにどのような手術をなすべきか、どれくらいの効果が見込めるのかを事前に推測できるようになってきました。いずれにしても高度肥満を伴うコントロールの悪い糖尿病を長期に放置すると手術しても効果は見込めませんので、外科治療を取り入れる時期の判断が重要になってきそうです。

 

Q: 危険性はないのですか

手術だけでなく全ての医療行為にはリスクがあります。一般的に全ての外科治療は生命に関わる合併症が起こる可能性がありますが、病的肥満症の治療を目的とした胃縮小術(スリーブ状胃切除)やバイパス術でも例外ではありません。手術の安全性とリスクについては手術を選択する前に納得いくまで担当医から説明をうけて理解するようにしましょう。ただ、日常、全身麻酔で行われている手術に比べてリスクが高いというデータはありません。欧米の統計では肥満手術での死亡率は0.2%未満と報告されています(当院では0%)。ただ、病的肥満症の状態である生命リスクのほうが手術そのものの生命リスクよりはるかに高いことが多くの論文で報告されています。

 

Q: 結婚や出産は可能ですか

きちんと管理すれば問題ありません。我々の経験でもこれまで術後に結婚された方も出産された方も何人もいらっしゃいます。妊娠・出産は可能ですが、手術を受けたことによる鉄分やビタミン、微量元素の不足に陥らないように栄養管理する必要があります。そのためにも術後は生涯にわたる通院が望まれます。ただ、術後2年以内は様々な理由で妊娠出産は避けるようにしたほうが望ましいといわれています。

 

Q: 入院期間はどれくらいですか

初診時の体重から5%以上減量できた場合は通常手術の前日に入院し手術から4日後または6日後に退院することが一般的です。ですから合計5日から7日の入院となります。ただし、術前減量不良や血糖コントロール不良、BMI50以上の高度肥満の患者さんは術前1-2週間前に入院する場合があります。術後合併症が起こった場合は入院が長期にわたる可能性もありますが当施設では幸い長期人院となった患者様をこれまで経験しておりません。

 

Q: 仕事にはどれくらいで戻れますか

仕事の種類にもよりますが、腹腔鏡手術で行うため回復が早く、デスクワークや軽労働の場合は退院後すぐに仕事に復帰される方もいらっしゃいます。身体の動きの制限はそれほどありませんが、術後1月間は食事の摂取がかなり制限されますのでできれば術後1週間から1月はご自宅で療養することをお勧めします。

 

Q: 術後の食事はどのようなものになるのですか

術後2週間は液体状のものやかなり軟らかいものだけの摂取しか出来ません。具体的には、お茶、コンソメスープ、味噌汁、野菜ジュース、ゼリー等です。術後2週を過ぎたら豆腐など少しだけ形のあるものも摂取出来るようになります。タンパク質の摂取が不足しがちなのでこの時期はマイクロダイエットなどのサプリメントを付加することもあります。術後4週以降は固形物も含め普通のものが摂取出来るようになりますが、一回で摂取できる食事の量はかなり少ないままです。術後の食事はこの治療が成功するかどうかにとって最も重要であるのでこの治療に精通した管理栄養士からその都度、詳細に指導がありますので安心してください。

 

Q: 家族が反対しているのですが手術できますか

病的肥満症に対して手術は確かに効果的ですが、術前・術後の家族のサポートはどうしても必要ですのでご本人が希望されていてもご家族の中に反対している方がいる場合は外科治療は難しくなる場合があります。ご本人はもちろん家族も治療にあたるチームの重要なメンバーなのです。

 

Q: 腎不全で透析を受けていますが手術できますか

病的肥満症に対する外科治療の主な目的は、高度肥満が原因で重要臓器の障害が起こるのを未然に防ぐことにあります。つまり、この手術の主な目的は将来起こりうる腎不全、肝不全、呼吸不全、悪性腫瘍などを防ぎ生命予後を良くすることにあります。既に心臓、肺、腎臓、肝臓などの機能が極度に低下している場合は、手術の効果が無いばかりか手術そのものが危険である可能性もあります。そのため、現段階では透析を導入された後には患者さんが得られる健康上のメリットよりもリスクが高くなる可能性が高いので手術は原則できないこととしています(例外的に1例施行)。同様にすでに腎移植手術などを受けられた後の患者さんつきましても現段階では手術の適応外としております。

 

Q: 80歳で膝が痛くて運動できないので手術をどうしても受けたいのですが

国内外のガイドラインでは肥満減量手術の適応年齢を18歳から65歳としていることがほとんどです。60歳以上になると手術で得られるメリットがかなり少なくなることが知られています。近年では65歳以上に減量手術がの安全性と効果についての研究が行われており、年齢上限についての制限が緩和される可能性があります。一方、癌(胃がん、大腸がん、乳がん他)や炎症(腹膜炎、胆嚢炎、虫垂炎)などの場合は月単位あるいは日単位で病気が進み状態が悪化しますし手術の効果がリスクを上回ることも多いので手術適応に年齢制限はありません。

 

Q: 検査入院があると聞きましたが

手術前の入院検査は原則不要で外来にて術前に必要な検査は全て可能です。具体的には、腹部CT検査、胃内視鏡検査、心電図、心エコー、呼吸機能検査、血液検査、検尿などです。しかし、全身状態が悪いか、超高度肥満のため通院が困難である場合は入院検査を行うことがあります。

 
 

Q: 入院して食事と運動でダイエットすることはできますか

手術治療を伴わない減量を目的とした入院プログラムは当院では行っておりません。

Q&Aの最終更新日 :  2016-03-30