肥満減量手術にかかる費用(コスト)
条件付きで健康保険が適応
2014年に初めて病的肥満症に対する腹腔鏡手術が保険診療として認められました。『K656-2 腹腔鏡下胃縮小術(スリーブ状胃切除術によるもの』というもので36,410点がつきました。つまり、この手術の値段は364,100円ということになります。36万というとかなり高額に思えますが、手術そのものにかかる材料費だけでこの金額を上回るため、実際はこの手術を行うことは経済的には不可能でした。また、この手術を施行して保険請求できる条件(施設基準)がかなり厳しく実際にその手術が保険診療としてできる施設はごく一部の大学病院くらいしかありませんでした。2016年4月からは手術の点数が4万点になったことに加え高額な医療材料費が保険で一部負担できることになったのでぎりぎり保険診療でも採算が合わせられるように改善されております。しかし手術が受けられる患者さんの身体的条件や病院に対する施設基準はやはり厳しいので施行できる病院はそれほど多くないと思います。
施設基準についてはこちら
また、患者さんの様々な病態に応じてスリーブや胃バイパスやスリーブバイパス、そして胃バンディング術などが選択できればいいのですが、残念ながら保険診療では『腹腔鏡下スリーブ状胃切除術』のみしか認められておりません。
上述の費用は手術だけのものであり、実際は入院、麻酔、投薬、検査など医療行為は多岐にわたるため医療費の総額は100万円を超えると思いますが手術で入院した患者さんが実際に負担する費用は高額医療制度を利用することでかなり低く抑えることが可能です。保険の種類や入院期間、身体の状態等によっても医療費は変わってきますので自己負担額は一概には言えず個別での対応となります。いずれにしましても、昨年までに比べるとかなりコスト的なハードルは下がったと思います。
実際の負担額とは関係ありませんが、下の表にに参考までに手術で使用する消耗品である1回使用しか認められていない医療器機・材料の腹腔鏡下スリーブ状胃切除術で使用される1症例あたりの標準的なコストを示します。医療費の多くが手術に関わるスタッフの人件費ではなく材料費であることが分かると思います。これらの材料は胃がん手術など他の腹腔鏡下胃切除術とほとんど同じになります。
医療材料名 | 単価 | 本数 | 合計 |
ポート類 | 16,000円 |
5 | 80,000円 |
自動縫合器(ステイプラー)本体 | 25,000円 |
1 | 25,000円 |
自動縫合器 カートリッジ | 36,000円 |
7 | 252,000円 |
超音波凝固切開装置 | 87,000円 |
1 | 87,000円 |
ベッセルシーラー | 88,000円 |
1 | 88,000円 |
縫合糸 | 42,000円 |
1 | 42,000円 |
ドレーンシステム | 3、000円 |
1 | 3,000円 |
577,000円 |
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